お嬢様はじめました。

「っ__!」



視線を上げてビックリ。


ビックリし過ぎて声が出ないとか本当にあるんだ。



「変な顔」

「……それは酷くない?」



玲はいつもの余裕の笑みを浮かべた。


あんなに囲まれてたのによく抜け出せたな。



「踊らないの?」



それは私のセリフ。


玲こそ大忙しなはずなのに、何で私のところに?



「玲こそ…こんなところで油売ってる暇ないんじゃないの?」

「油なんて売ってないよ。 今日機嫌悪いね」

「そんな事ないよ。 緊張してるだけ」



っていう事にしておこう。


女の子達に囲まれてる玲を見て気分が悪くなったなんて口が裂けても言えない。


私は玲の事が気になってる。


気になってるなんて思いたくない。


でもやっぱり惹かれてる。


まだ曖昧な気持ちが逆に苦しくて、どうしたらいいのか分からない。



「ドレス似合ってるよ」

「あり、がとう…」



照れる。


誰に言われるよりも照れる。



「玲もタキシード似合ってるよ」

「ははっ、ありがとう」



そう言って玲は私の手を取った。



「この指輪もいいね。 彼からのプレゼント?」

「…………」



それって、さりげなく私になんて興味ないって言ってる?


線引いてる?


…意味なんてないのかも。



「……お婆ちゃんの形見」

「…そう、よかった」



グイッと手を引かれた。


手の甲に玲の頬が唇が触れた。


ほっぺが熱い。


恥ずかしくて振りほどきたいのに、今の私がそんな事出来るはずもなかった。


確信犯なのか天然なのか、どちらにしても小悪魔だ。