「単刀直入に申させて頂きます。お姉様、清太の為に消えて下さいませ」

「えっ…!?」

「おい、テメェ…!」

「天宮!何言ってんだよ!」

「葉久夢は思うのです。清太の為にはお姉様に消えて頂くのが一番かと」

「…」

反論できずにうつむく私を葉久夢ちゃんはじっと見ていた。

気品が溢れていて少し長めな髪を毛先の方だけ巻いてある上品な髪型。

すぐにわかった。

葉久夢ちゃんはお嬢様だということを。

「葉久夢は清太が好きです」

「え、天宮!?」

「葉久夢ちゃん…」

「なので、清太の為ならばこの命だって惜しくはありません。お姉様を消すことも容易く御座いますわ」

「葉久夢ちゃん、想いの力って"命”をも上回るものなの…?」

「勿論ですわ。そんなことも分からないなんて葉久夢には信じがたいことですわ」

私は葉久夢ちゃんから溢れる気品に1輪の薔薇の棘のような冷たく鋭いものが、

 
     本当の想いの力。


そう感じさせられていた。