歩いてくる君の姿を見つけた。





小柄で可愛らしい君。






おはよう、スゥ。



そんな声をかけられている。





“スゥ”か。



そうやって君を呼べたら楽しいんだろうな。



でもそれは叶わない願いだ。






すれ違うとき、君はいつも「お…」とつぶやく。




今日もかすれそうな声でそう呟いた。





聞き逃さないよ。




ちゃんと聞こえてる。





俺に言いたかったんだよね。



「おはよう」を。






「おはよう、スミレちゃん」





すれ違ってからつぶやくその声は、きっと君に届いていないんだろう。