「……あ、今朝の」
「あっ!覚えててくれたんですね!
今朝は、ありがとうございました!」
黒髪の彼は、ニコリともしない。
うわ……こんな近くで見たの、久しぶりだ。
「……礼とかいいから」
「い、いえ!嬉しかったので!
あ、あたし、須藤美紀といいます」
普通に自己紹介まで……!
美紀ちゃんって意外にデキる子!?
「あー…そ」
「あ、の、
あなたの名前は!?」
「え、俺?
あー…清水翔真」
すごくダルそうに、彼はそう言った。
でも、私は知ってた。
清水翔真くん。
私の、初恋の人。
じっと見つめていると、
清水くんと目が合った。
やば、見すぎた…!
思わずふいっと視線を逸らす。
だけど。
「目逸らしてんなよ、岩堀由佳菜」
低い声で呟かれ、恐る恐る視線戻す。
清水くんは、逃がさないとでも言うように私を睨み付けていた。



