完全にお姉さん気分に浸っていたら、駅に着いた。
いつも通り、着いた時にちょうど来る電車に乗る。
階段を下りてすぐの車両。
そこに、美紀ちゃんの想い人が……?
「……あ、
由佳菜ちゃん!由佳菜ちゃん!」
「え?」
「い、いた!」
口をパクパクしながら、美紀ちゃんは必死にそう言う。
たまにって言ってたのに、アッサリ会えちゃった。
美紀ちゃんが指差す方へ、私も視線を向ける。
どんな人なんだろう、なんて期待は
その人を視界に捉えた瞬間、消えた。
……あれ、って…
「あの、黒髪の人!」
美紀ちゃんがそう教えてくれるけど、
私は知ってる。
その、黒髪の人を。



