屋台にもいなかったとなると、もう心当たりのある場所が思いつかない。
困ったな…。
とりあえずいろんなとこ探すしかないか。
辺りを見回しながら歩いていると、
屋台の通りを抜け、人が少ない場所に、
まだ花火があがっていないのに、空を見上げて立ち止まってる人がいた。
……岩堀だ。
気付いた瞬間、近付いて、その腕を掴んだ。
「岩堀!」
「……え…?」
岩堀が顔をこちらに向けた瞬間、
岩堀の目から涙がこぼれ落ちた。
「……なんで、泣いてる」
「……あ…はは…、
なんで、泣いてるんだろ…」
岩堀が、自分の手で涙を拭う。