駅のホームに電車が滑り込み、
ドアが開いた瞬間、私は逃げるように急ぎ足で電車を下りた。
……こんなところでおりたって、行く場所もないのに。
ホームで次の電車を待っていようとベンチに腰をおろすと。
「あ、
やっぱりおりる駅、ここじゃなかった?」
そんな言葉とともに、私の目の前に影がさした。
誰?と思いながらも視線を上げると
そこにいたのは、
さっきまで清水くんの隣で、清水くんと話していた男の子だった。
「え…と」
「さすがにあんなこと言われたら、気まずいよね~。
逃げたくなるのも、仕方ないよ」
ニコニコしながら、その人は私の隣に座った。
……この人は…清水くんの友達?
中学にこんな人いなかったし、
清水くんと同じ制服だから、高校で知り合ったんだろう。
……清水くん、こんなチャラそうな人と友達なんだ…。
「岩堀さんっていったっけ?」
「はい」
「なんか……ごめん。
普段はあんなやつじゃ、ないんだけど」
「いや!あなたは悪くないですから…!」
謝られても、反応に困るよ…!



