「ありがとう…」
『忘れ物するなよ』
「気を付けます…!」
電話を切って、ふぅ、と息をはく。
ゆっくりでいいとは言われたものの、そこまで清水くんを待たせるわけにはいかない。
水着とかは昨日用意しておいたし、あとは髪だ。
清水くんを待たせて申し訳ないけど、
普段はおろしている髪を、左右で三つ編みしておさげにした。
よし!と頰を叩いて、荷物を持って家を出た。
「……結構早かったじゃん」
「一応、急いだつもりです…!」
駅の外でスマホをいじりながら待っていた清水くんは、
私に「ん」と切符を渡してきた。
「もうすぐ次の電車が来る。
ちょうどいいタイミングだったな」
「……よかったぁ」