それに、無視してるわけじゃなくて
ちょっと混乱してるだけで…。
「……ごめんなさい…」
でも口から出たのは、その言葉だった。
ごめん、なんて、なにに対してなんだろう。
清水くんを避けたこと?黙ってしまったこと?
私にも、わかんないや。
ただひとつわかったのは
清水くんに、嫌われたくないということ…。
「……謝って済むと思ってんのもムカつく」
「……あ」
「もう喋んな」
一方的に話す清水くん。
言い返すことも、できたはずなのに
低い声と、冷たい視線に圧倒されて、言葉が出てこなかった。
……せっかく、話せるチャンスだったのに
空気を悪くしてしまった。
…美紀ちゃんにも、申し訳ないことしちゃった…。
あまりにも、この空間にいることが気まずくなって。
『まもなくー○○駅。
お出口は左側です』
車内アナウンスが聞こえたから、
逃げるチャンスだと思った。
「わ、私、ここでおりる…!」
普段おりる駅よりもだいぶ手前なのに、
私がいない方がいいと思った。



