「ありがとう。もう大丈夫。」


僕の身体から幼なじみが離れた。


そこへ集中的に夜風があたって寂しい。


「また、来ていい?」


それはまた他の男のことで泣きたくなったら僕のところへ来てもいいか、

という意味だろうか。


冷静に考えると現実が僕の胸を貫いた。


僕は返事を待っているらしい幼なじみのパーカーの袖を引いた。


「ねえ。」


今じゃないにしろ少しくらい僕だって報われていい頃ではないだろうか。


幼なじみの肩に僕は顔を埋め首を振った。


「僕も失恋してるから。次は僕がそっちに行く。いい?」


返事の代わりに幼なじみは優しく僕を抱きしめた。


戸惑いもなく、抱きしめた。


幼なじみにとって僕は戸惑わない存在なのだ。


僕はもう二度と幼なじみに甘えることは無いだろう。


僕はオリオン座の星の一つを越えることに決めた。


終わり。