僕の幼なじみは不幸だ。


何故かというと毎度毎度好きになった男には必ず彼女がいる。


それを知っては幼なじみは僕の胸の中で泣くのだ。


「ごめ、寒いよね。けどもうちょっと。」


僕の胴に巻き付く腕の締め付けが強くなった。


幼なじみは僕の肩に顔を埋めうーうーと唸っている。


11月半ばで非常階段しかもいきなりインターフォンを鳴らされ、

出てきた身だ、かなり寒い。


でもそんなことを口に出す程、僕は子供ではない。


「いい。気にすんな。」


僕の胸でしゃくりあげながら泣くこの状況は

今まで何回あったのだろうか。


小学校からずっとの習慣だからもう最初の方のことは忘れていた。


僕は幼なじみの背中をポンポンとリズムよく叩きながら空を見上げた。


冬の空は澄んでいる。


夏と比べたことは無いが僕は自然とそう思った。