優しく微笑む彼を見た瞬間、不安でいっぱいだった心がフッと軽くなっていく。

高級チョコレート菓子を、"こんなもん"と言えるのが、なんとも煌らしかった。


『事前に言ってくれてたら、もっといいもんを茉央にあげることができたのに。』

「っ……!」


再開したあの時から、煌は何かと私に甘い。


「…そんなことしたら、ハロウィンの意味、ないじゃない…っ」

『ははっ、それもそうだ。』


安堵から来た小さな私の涙をぬぐいながら、煌は笑う。


『でも、大切な彼女に贈るプレゼントには、やっぱり俺の気持ちを込めた良いもんを贈りたいだろ。』

「……っ」


さも、それが当然かのように言ってのける煌は、私の目にはとても格好良く見えて。

ああ……この人に出逢えて、この人に見初められて、この人のそばにいることができて……なんて私は幸せ者なのかと、また何度でも思ってしまう。