『…で、どうかした?』
2人きりの車内。
何度も2人でどこかへ出かけたりするとき、いつも先生の車には乗せてもらうのだけど、何度乗っても、この空間には慣れそうにない。
「今日は、先生に渡したいものがあって…」
ここでもじもじするのもアレだし、素直に渡そうと、先程、院内にある販売所で買ってきたものを出そうとカバンを探る私。
そんな私を、何故か岩崎先生は期待の眼差しで見つめている。
……そんなに見つめたっていいものなんてあげられないのに。
そう思いながらも、手に取った物を先生に渡した。
『!ありがとう、繭ちゃん…!俺は今日、このために――…え?』
私が渡したビニール袋の中身を見た岩崎先生は、面白いほどに硬直してしまった。
『え…っとー…繭ちゃん。これは一体…?』
目をパチパチとさせながら、岩崎先生がゆっくりとビニール袋から取り出したものとは、
「――…胸焼け解消ドリンクですけど、何か?」

