――数十分後。
私は岩崎先生をいつもの駐車場に呼び出していた。
もう業務時間は過ぎたはずだし、もうそろそろ来るとは思うんだけど――…
昨日は風もなく暖かかったのに、今日になって突然強風が吹き荒れる中、人を待つのは中々辛いものがある。
ただ寒いだけなら我慢できるんだけど、こうも風が強いとなぁ…。
憂鬱になりつつ、何度目になるかもわからない、風に煽られた横髪を耳にかけていると、
『――お待たせ、繭ちゃん…!』
「!」
やっと、岩崎先生がやってきた。
振り返った先にいる岩崎先生に、遅いですよ、と言おうとした口が止まる。
両手に抱えた紙袋の山。その中から覗く溢れんばかりのチョコの数。
…――去年と一緒だ。
「あの…」
『とりあえず、車に乗らない?風強いし、これ、重くってさ。』
まぁ、両手に4袋ずつチョコがパンパンに詰まった紙袋を持ってたら、まぁそうなるわな。
「あ……はい。」
先に自分の車が駐車してあるであろう方向へ向かっていく岩崎先生の後ろを、素直に着いて行った。

