10月某日。

世話焼きの度が過ぎる私の親友、薫が私にはなった一言から全てが始まった。


「――はろ…うぃん?」

『え、ちょっと待って。茉央ってば、巷で話題のハロウィンを知らないなんてことないよね?』


いつもの薫宅で、のんびり缶ビールを飲んでいたら、薫からハロウィンの話題を振られた。


「…いや、知ってるけど。」


ハロウィンが何かは知っている。

そして、日本では本質とは違ったハロウィンで年々盛り上がっていることも知っている。

だけど、それは私には全く関係ないことだと思っていた。

仮装なんてしたことないし、したいとも思わない。


『じゃあ、今年はするんだよね!』

「え?」


する……とは?

――まさか。

高校時代からの親友だけあって、隣にある薫の笑顔を見ただけで、彼女が何を言いたのか察してしまう自分。


『ハロウィンと言えば仮装でしょ!?今年は愛しのダーリンもいるんだし、楽しまないと!』


私の予感は見事的中し、何度仮装はやらないと言っても、やれやれとうるさい薫に押し切られて、今に至るのだった。