バフッ、と大きな黒いソファに座った私。

それに続き、ナツと悠が両隣に勢いよく座る。



「姫花ちゃん、手紙」



そう言って悠から渡されたのは、白い封筒に私の名前が書かれているもの。

誰から送られたものなのかは分からない。




「・・・白銀?」

「多分そうじゃない?」





私の問に答えたのは、ナツ。

白銀とは、全国No.4の暴走族、だったかな。確か。




「・・・家で読む。じゃあね」

「ええっ!?もう帰るの!?」
「もうちょっと居てよ!!」





後ろから聞こえる二人の声に返事はせず、建物から出た。

追いかけてこないのは、こうなったら私が戻ってこないのを分かってるからだろう。




「面倒くさそう・・・」




小さくそうつぶやいた私は、白い封筒をごみ捨て場に捨てた。




太陽に透かした時に見えた文字。



『―――姫羅の舞姫様、白銀との・・・』



その文字を見た途端、その後の文が分かった。

返事を出す必要は無い。



けれど、ごみ捨て場にその封筒を捨てたのが間違いだった。

私は何も知らずに家に帰る。




その私の後ろ姿を見つめる者。

その者との出会いが、私の平凡な毎日を変えることになるなんて・・・




家に帰って、すぐにベッドに潜り込んだ今の私には分かるわけがない。










――――――・・・

?「この封筒・・・・・・」