さっきの電話と同じように、鳴り止まない呼び出し音。
サッと黒いパーカーを着て、部屋から出る。
すぐそこにある玄関のドアを開けると、そこにいたのは予想通りの人。
「わざわざ来なくてもいいのに・・・・・・悠」
「だって、こうでもしないと、姫花ちゃん一時間経っても来ないじゃん!?」
「分かったから・・・行くよ・・・」
眠い目を擦りながらそう言うと、目の前にいる悠は嬉しそうに私の手を引く。
5分で行けるんだから、そんなに急がなくてもいいのに・・・と内心思いながら、悠のあとを付いていく。
スキップをしながら前を行く悠は、幼稚園児みたい・・・。
そんなことを考えていると、あっという間に〝その場所〟に着いた。
門の前には、久しぶりに見るナツ。
「姫花、久しぶり!」
「久しぶり・・・」
相変わらず、ナツは名前の通り暑苦しい・・・。
私に飛びついてこようとしたナツを手で止め、ふわぁ、と欠伸をしながら目の前の建物に入った。

