大切なあなたと記憶。

「本当は、ちゃんと記憶が戻ってから見てほしかったんだけどな。
今日の朝さ、掃除してるお前にその箱見つかっちゃってさ。
必死に隠してたらもういい! って」

呼び方が…多分元の私に接する態度なんだろう。

「見て、いいんですか?」

まだ涙は止まっていない。

私は彼に尋ねた。

「あぁ、隠しててごめんな」

そして開けられた箱には……

私は、余計に涙を流した。

「綺麗…。」

そこに入っていたのは綺麗な…
指輪だった。

「本当はもっとロマンチックに渡そうとか考えてたんだけどさ、こんな事になるならあの時渡しとけば良かったな」

彼は泣きそうになりながら言った。

「今日渡そうとはずっと前から決めてたんだけどさ、やっぱり大切な日だからさ」

あぁ、そっか。