大切なあなたと記憶。

普通、記憶を失って、気づいたら謝られて、良く分からない状態で。

そんな状態だったら怒ったり泣いたり、感情に左右されるものじゃないのか。

まず、なんでこんな事考えてられるのか。

私は冷めた人間だったのかな。

それすら分からない。

「あのっ」

ぐーーー

私の言葉は私のお腹あたりから発せられた音でかき消された…。

「・・・」

「すみません」

私の顔が今赤いことが何と無く分かる。

なんて緊張感のない!!

「ふっ、やっぱり君は君だな。
君からしたら知らない人で怖いかもしれない。でも、なんか作ってくるから食べてくれるか?」

目が覚めて初めての彼の笑顔を見た。

「はい。」

そして彼に言われて気づいた。

私は彼を怖がってなんて微塵もいないことに。

むしろ安心の様な感情まで抱いている。

1人だったらパニックになりそうなものなのに彼といることで穏やかでいられる。

これは何なんだろう。

私には分からない事だ。