部屋の隅に転がされた、血まみれのコウくんがいるのだから





奏くんが、コウくんをこんな姿にしたのに







「僕、こういうの夢だったんですよ」







本人はニコニコと無垢な笑顔で笑っている






「いっつもコウが上だったから。ずっと今と真逆の状況だったんです。」






『それってつまり、奏くんがぼろぼろで、コウくんが女の子と遊んでいたってこと?』





「そうですよ」





話すのさえも嫌なんですけど。と前置きして、奏くんは語った






「長男だから、コウがこの家を継ぐんです。だから、いつでもコウだけ特別扱いで。
両親は、出来すぎるコウと出来なさすぎる僕をいつでも比べました

コウだけを褒め称えて。

コウだけを心配して。

コウだけを愛した。



僕は、要らない存在だったんです」