いつも側に

歌が中盤に差し掛かった頃、窓の下でジャリ、と靴と地面がこすれる音がした。


歌を止めて見てみると、長身の男がこちらを見ていた。



今日は曇っていて月が出ていない上、街灯を背にしていて顔が見えない。



しかし、男の鋭い眼光はたしかに私を捉えていた。



「…」



『…』




どれくらい見つめ合っていただろうか。





男はフイ、と顔を背け、長い脚を動かして去っていった。




私はよく分からない男を不審に思いながら、また街並みを眺めた。



月は沈み、日が昇ってくる。



また同じ事を繰り返す日常が始まる。