「ふぅー…危機一髪だったね?」
『……どうして止めた。類!』
振り下ろす直前、
類は私の手からナイフを蹴り飛ばした。
「前に「東条を殺しそうになったら止める」
そう言ったよね?
朱音、自分を見失っちゃ駄目だよ。」
『…ッ……そんなの綺麗事よ!
言ったでしょ?
『憎くて憎くて堪らない。
殺したい程コイツを恨んでる』って!!!!』
そう簡単に気持ちは切り替わらない。
幾ら自分に言い聞かせたって
駄目な時だってある。
「うん、分かってるよ。だからこそ止めるんだ。
俺達は今の朱音が好きだから
失いたくなくてここに居るんだよ?
お願いだから遠くに行かないで。」
ズルいよ。
そう言って皆は私を引き止める。
そのせいで私の心は揺らぐんだ。
グラグラと生きたいと思ってしまう。
蒼空は死んだのに。
『うッ………蒼空…会いたい…ッ。
うあああああぁぁぁーーーーー!!!』
殺したい。
でも、殺しても蒼空は戻らない。
あの時、今みたいに力があれば
私が強かったら、
私が引き返しとけば、
私が死んでいれば、
私じゃなく、蒼空が生きていたのに。



