双姫 Ⅰ



『立てよ……立てよッ!!』


ナイフ持ってるくせに何震え上がってんのよ。


「わ、悪かった!」


『謝って済む問題か…?
そんなに簡単な事じゃないんだよ!!』


ナイフを蹴り上げ、手中に収める。


「朱音!!止めろ!!!」


そんな静止の言葉も私には届かない。


『震えてるのか?ナイフごときで。』


あの時は立場が逆だった。

私は東条怖くて、

今は東条が私を恐れている。


「ヒッ!」


『逃げんなよ、自分で撒いた種だ。
私が妹想いのお姉ちゃんなの知ってるだろ?』


逃げないように床に頭を押し付け、
ナイフを掲げる。


『恨むなら自分を恨むんだな。』


何度も許しを請う言葉も聞かず、
私は東条の背中にナイフを振り下ろす。


カシャーン!!


でも、
振り下ろした筈のナイフは床に転がっていた。