『…皆が言いたい事は分かってる。
たとえ東条を殺しても蒼空は戻って来ない。

分かってるけど
この憎しみはどうすれば良い?

アイツを思い出すと
どす黒い感情が私を支配するの。』


「うん…。」


皆、何も言わないで私の話を聞いてくれる。


『ずっと殺したいって思ってた。
でも、蒼空が死ぬ直前…私に笑ったの。

どうして笑ったかなんて分からない…。

あの笑顔を思い出す度
自分がしようとしている事は
正しいのか分からなくなる時があるの。』


「…朱音はずっと自分の感情と闘ってたんだね。」


『う…ッ…でも……許せないのよッ!!』


蒼空を失ってポッカリと穴が空いた心は
『悲しい』と『寂しい』と叫んでる。


類の温もりで私は感情の糸が切れたように

自分の気持ち、東条への憎しみ。
蒼空に会いたいと。

泣きながら喚いた。


類はその間ずっと抱き締め、
他の皆もずっと側で聞いてくれた。