双姫 Ⅰ



『蒼空を返して!!』


「しえる?ふーん君、蒼空って言うんだ。」


「おねぇちゃんー!離して!離してよぉ!!」


「少し黙ろうか。蒼空ちゃん?」


『「ッ!?」』


男が取り出したのは
不気味に光るナイフだった。


「ヒッ……うぁ…ぁ……。」


「うん、良い子だね?蒼空ちゃん?」


『アンタ、蒼空にそんな物近付けないで!!』


本当は私だって怖い。
でも、ナイフを突き付けられてる
蒼空の方がよっぽど怖いに決まってる。

私は蒼空のお姉ちゃんなんだから。
助けなきゃ!
何も出来ないと分かっていても
ほっとくなんて出来なかった。


「おねぇちゃん…逃げてぇ!」


『妹を置いて逃げる
お姉ちゃんがどこに居んのよ!』


どのみち男が道を塞いでいて
逃げる事なんて出来ない。


「妹想いなんだなぁ。
じゃあ君も使わせて貰うよ。」


『キャー!離してぇ!!』


「おねぇちゃん!
おねぇちゃんを離してよぉ!!」


男は蒼空同様、私の髪を掴み地面に押し付けた。


「さぁて、アイツらの反応が楽しみだな?」


私と蒼空を引き摺りながら
男は声がする方へ歩き出した。