嫌われる『私』
好かれる『蒼空』

無愛想な 『私』
愛想の良い『蒼空』

可愛くない『私』
可愛い 『蒼空』


どちらが引き取り手が
現れるかなんて目に見えてる。

案の定、蒼空を「引き取りたい」と
名乗り出た夫婦が現れた。

その夫婦は私から見ても優しげで
こんな人達に引き取られる
蒼空は幸せになるんだろうな……。

私は他人事のように考えてた。


でも、蒼空は首を縦に振ることは無かった。


「ヤダー!!ぜったいヤダ!!」


私の背中から離れなくて
奈緒珠さんも
その夫婦も戸惑っていた事を覚えてる。

私も何が不満なのか分からなくて
只、しがみつかれていた。


「しえるちゃん?
私達と一緒に暮らしましょう?」


夫婦が優しく説得するも…。


「ヤダッ!!」


蒼空は是と言わない。


「ねぇ、しえるちゃん。
どうして嫌なのか教えてくれる…?」


「なおみせんせー…。
しえるはおねぇちゃんがいいの!!
おねぇちゃんいなきゃヤダ!」


そして
わーんわーんと大きな声で泣き出してしまった。


「おねぇーちゃんがいいー!」


そう言いながら泣く蒼空を見て。


『う……ッ……うわーん!!』


つられる様に私も泣いていた。