双姫 Ⅰ



真白side


私を助けてくれた彼は
名前も名乗らず行ってしまった。

きっと私に危害を加えないようにと
優しさからだろう…。


「でも、それじゃあ貴方はいつも一人…。」


喧嘩が強くても
自分のせいで誰かが傷付くのを恐れている。
本当の貴方はとても脆いと感じた。


「おい、どこ行った!?」


急に男の人の声が聞こえて
塀の高い所へ慌てて隠れた。


「確かにこっちに行くのが見えたのにぃ~!」


「足、速過ぎですよ…。」


「つ、疲れた。」


「あーもう!
折角見つけたのに見失ったじゃねぇか!」


一、二、三……五人!?
あの人そんなに追われる立場の人なのかな?


私を襲ってた人も知ってる風だったし…。
確か…そう……なんとかだった。


「朱音…話したいのに。」


「類、大丈夫ですよ。」


朱音?それがあの人の名前なのかな?


話が気になって聞き耳を立てる。


「全く、女なのに可愛げが…「え!女!?」」


「「「「「誰だ(ですか)!?」」」」」


は!しまった!!つい声を出してしまった!


「塀の後ろに誰か居ますね?出て来て下さい。」


うぅ…見付かっちゃったよ……。
でも、この人達あの人の敵じゃないみたい。
じゃあなんで逃げたのかな…。


「あのぅ…。」


私は恐る恐る顔を出した。