神龍side


俺はショックの余り
朱音を追い掛ける事が出来なかった。


「兄貴失格だな…。」


「紘…そんな事言わないで。
あんなのきっと本心なんかじゃないわ。
じゃなきゃあんなに仲良くなるなんて出来る?」


「僕らから見ても本当に仲良しだったしぃ〜。」


「冗談でもあんな事言うなんて
思いませんでしたが、流石に驚いて
責めるように言ってしまいました…。」


冗談…本当に冗談だったのだろうか。


「芦基…実基の事大切か……??」


「ど、どうしたの紘〜?」


「良いから…どうなんだ?」


「…そりゃあたった一人の兄妹だし?
おまけに双子だから余計絆が深い感じかな?」


「芦基がそんな事思ってたなんて…。
でも、双子って不思議よね。

芦基が怪我や病気をしたら
代わりに私が泣いて。
私がそうなったら芦基が泣いてた。」


「双子にはそういう
能力があると昔から言われてますからね。」


「…だから俺より蒼空の絆は固い。
朱音にとって蒼空は一部だからな。」


でも、それでも
蒼空の絆より自分の人生を大事にして欲しい。


「蒼空…朱音を連れてかないでくれ……。」


紘の悲痛な声に実基達は声を言葉失い、
側に居る事しか出来なかった。


神龍sideEND