双姫 Ⅰ



偶然にも母さんが男と
手を繋いでいる所を見てしまったんだ。

とてもとても幸せそうに。


俺の知らない女の顔で。

俺を捨てた母さんはそんな事も忘れて笑ってた。


暴力を受けた方がまだマシだった。
綺麗な思い出を
最悪の思い出で塗り替えて欲しかった。


そしたら母さんを憎む事が出来たのに。


だから、俺は女を見る度
どうしても母親の姿とダブるんだ。

そうなると身体が震えて
どうしようもない気持ちになる。


「蒼翔が俺を女達から
助けてくれた時、凄く嬉しかった…。
あの時、動けなくなってたから。」


『………。』


「蒼翔…?」


応えてくれない蒼翔に焦りを感じた。

少しだけ顔を傾け、蒼翔の顔を覗こうとすると


グイッ!!


「うわぁ!?」


いきなり頭を抱き締められた。