双姫 Ⅰ



母さんは俺を見ると嫌そうな顔して


「もう帰って来たの?
まったく、うっとおしいわね……。」


「母さん…?
そんな荷物持ってどこ行くの…??」


俺の言葉を無視して、家から出ようとする
母さんを俺は必死に止めた。


「離れなさいよ!!」


その瞬間、頬に痛みが走った。


俺は痛くて痛くて涙が出た。

叩かれた頬が痛いんじゃない。


心が痛かったんだ。


それから俺は無理矢理施設に入れられ、
母さんはそれっきり会いに来なかった。

どうしてそんな事をしたのか
俺に母さんの気持ちは分からない。


でも、不思議と悲しくなかった。
俺、捨てられたんだな…ってそれだけ。

母さんを嫌いになるなんて出来なかったんだ…。

俺には母さんと過ごした日が希望だったから。
いつか迎えに来てくれるって。


でも、そんな考え甘かったんだよ。