「そ、それは朱音が『双姫』ってバレたら……。
『アイツら』も勘付くかもしれないでしょ?」


『大丈夫だよ。男装してウィッグもしてるし?
フード被って見えないようにする。
『双姫』は女で通ってるし、バレないよ。』


「で、でも…『じゃあ行ってきます!!』」


母さんが言いかけた言葉を遮り
パタパタと玄関へと走って家を後にした。


「朱音、貴女はまだ闇の中に居るのね……?
いつか心から笑う事が
出来るようになるのかしら。」


そんな事を母さんが呟いているとも知らず、
私は邦ヶ丘高校へ向かった。