双姫 Ⅰ



「朱音、貴女男装しなさい!!」


『だ、男装!!!!????』


「ほら、こんな時の為に用意してて良かったわ!
髪はこのウィッグ!
制服も着替えて着替えて!!遅刻するわよ!」


『わ、分かったから。今、何時!?
てか、何時に始まるの!?』


「始まるのは9時よ!
今は……8時40分………………ね…………。」


え゛っ!!


『ち、遅刻ぅーーーーーー!!!!!』


それから私は目にも止まらぬスピードで
着替えを終え、最終チェックをする。


『母さん母さん!どう?可笑しくない!?』


「あらぁ……/////」


『どうなの!?』


答えを求めるものの
何故か呆然とし、ほのかに顔が赤い。


「…スカートも似合うけど男装も良いわぁ////」


『それは似合ってるって事ね!?
じゃあ、行って来ます!!』


「あ、朱音!!カラコンしなきゃ!!」


慌てて玄関へ向かおうとしたが
母さんの言葉に足を止める。


『………カラコン…?………なんで…??』


自分では思った以上に低い声が部屋に響く。