大庭くんは、私にとって初めての彼氏だった。

私は中学1年の女子バレーボール部。
大庭くんは2学年上の、男子バレー部の先輩だった。

当初、私には大庭くんとは別に、バスケ部の笹本先輩に憧れていた。
大庭くんは笹本先輩と仲が良かった。
大庭くんが私を可愛がってくれるのは、とても嬉しかった。

女子バレー部の先輩とそりが合わず、部活帰りに一人で帰っていた私に、声をかけてくれたのが大庭くんだった。
お陰で部活帰りも寂しくなかったし、笹本先輩とも一緒に帰ることができた。そのうち、時間が合わずに他の先輩たちが先に帰っても、大庭くんは一人で私の部活が終わるのを待つようになり、二人で帰ることも多くなった。

この先輩は、私には好意があるのだろうとぼんやりと感じていた。
人からの好意が心地よかったし、私はそれを利用していたのだろう。

しかし、大庭くんには2年も付き合っている彼女がいた。
大庭くんが私と二人で帰っていることを聞きつけた女子バレー部の先輩が、「彼女が心配するから見張る(笑)」と言い出し、三人で帰る日が続いた。
(私が一人で帰るようになったのは、あんたたち女子バレー部の先輩たちのせいじゃん。。。)
そう思って、ひどく疎ましく感じた。

私は大庭くんのことを好きかどうかはわからなかったが、彼女から大庭くんを奪えるか試してみたい気持ちになっていた。