「夏休みなんて早く終わればいいのに…」


「それは俺が困る」


聞き覚えのある声。


部屋の入り口の方を見ると、白いTシャツにジーパン姿の悟さんが立っていた。


「なんで悟さんがここに……?仕事は?」


いつも仕事の日は、今の時間も働いてるはず。


「今日は仕事じゃないよ。本当は一緒に買い物に行くつもりだったんだけど」


言いながら悟さんは私に近づいてくる。


「愛、左手出してみ」


言われるまま左手を差し出すと、悟さんも左手を添える。


それから薬指にひんやりとしたものが通された。


「付き合って3年記念のプレゼント」


悟さんがくれたのはピンクの石がはまった指輪だった。


忘れてた…。


悟さんは覚えててくれたのに…。


「悟さん…ごめんね?私、子供でごめんね……」


悟さんを見たら色んな感情と一緒に涙が溢れ出した。


悟さんが好き。


大好き……。


「なぁ、愛。本当はさ、もっとちゃんとした時に言った方がいいんだろうけど」


悟さんは一旦言葉を止めた。