悟さんは黙ったまま何も言わない。
やっぱり私より仕事のが大事なんだ…。
「悟さん無理しないでね。また会えるとき電話ちょうだい?」
悟さんの返事も聞かずに、一方的に電話を切った。
私って子供だ。
仕事が大事なのは当たり前なのに。
私だって大事にされてないわけじゃないって、わかってても寂しくてしょうがないんだよ。
電話で本当のこと言いたかった。
でも、子供だって呆れられたくないんだもん。
悟さん……会いたいよ。
会いたくて、会いたくて……もう泣きそう…。
ベッドに顔を埋めて、いつの間にか眠りについていた。
*
あっという間に日は過ぎてお祭りの日がやってきた。
私1人で優月と碧依さんと盛り上がる元気なんてない。
優月に電話して今日のお誘いは断った。
悟さんは悟さんで電話の1つもくれないし。
忙しいのかな…?
もうすぐ6時になる。
私はベッドに寝転んだまま時計に目をやった。
夏休みがこんなにもつまらない。
今までだったら楽しくてしょうがなかったのに。
悟さんとお祭り行きたかったな…。


