おいてけぼりティーンネイジャー

うなずくと、そいつはケースからギターらしきものを出してきた。
……とりあえずリュートじゃなくてよかった……やや小ぶりなアコースティックギターのようだ。

が、手渡されて、また驚いた。
弦が5本。

その弦も違う。
何だ、これ。
少し鳴らしてみると、音が全然違う。

「これ、ガット弦だよね?でも、何か、もっと複雑な音がする……」
「おもしろいだろ?その弦、家主の手作り。」
「へ!?」

俺は心底驚いた。
弦って自分で作るものなのか?

「てゆーか、そのギターもこのオーボエも家主が作ったらしい。おもしろいよな~。このオーボエなんか、ホームセンターで買った木の棒から作ったらしいぜ。」
「……家主、何者?」

手作りのガット弦、それも5弦のチューニングのやりかたなんかわからないけれど、いつも通り音を合わせてみながらそう聞いた。

「大学教授。楽器作りは趣味らしいよ。いい腕してるから、小銭稼ぎにはなってるようだけど。……てか、上手いな。何か、弾いてよ。」

俺はそう言われて、ちょっと考えて……大好きな曲を弾いた。
かつて兄貴がはじめて貸してくれたCDに入っていた、あの曲の前半部分。
……ギターも弦も音が柔らかくて味があって……何とも言えず心地よかった。

「と、ここまででいい?ここからはエレキに持ち替えたい。」
演奏をやめてそう言うと、拍手された。

「すごいじゃないか!ギターもだけど、その声!びっくりした!よくそんな声、出るねえ!」
俺は苦笑した。
「そっちか!」

「いや、どっちも!ねえ、一緒にやらない?俺も好きなんだ、バロックもフォークもロックもコーラスも!」
そう言ってそいつは、何と、大きなケースからコントラバスを出した!

「これでベース部分弾くからさ、今のもいっぺんやってよ。」
「いいけど……て、まさか、それも手作りか!?バロックコントラバスってのもあるのか!」
そいつはニヤリと笑った。

「あるよ。ヴィオラダガンバとかヴィオローネって言うけどね。これは、まあ、半分手作りかな。楽器制作者の家で合宿して一緒に作ったらしいから。」
あ、その名前なら聞いたことある。

……しかし、おもしろいな。
俺も、音楽にはけっこう詳しいつもりでいたけれど、バロック音楽って……何だ?

よくわからないまま、俺達はバロック楽器で往年のハードロックの名曲を弾いた。

途中まで。