「……あの、ね。暎(はゆる)さん。」
珍しくすぐに車を降りず、知織がもじもじしてる。
「ん?どうしたの?」
甘えたいのかな?
「まだわからへんねんけど……」
「うん?」
しばらく目を泳がせてから、知織は意を決したように顔を上げた。
「もしかしたら授かったかも。」
さずかった……。
センター試験の日の話題にふさわしくないワードに、俺は真っ白になった。
「……困る?」
いつまでも反応しない俺に、知織は不安になったらしい。
慌てて俺は、首を振った。
「すごくうれしい。でも、びっくりした。まさか大事な試験の日に……あ!」
そうか!
俺、さっき、湯島天神で!
腹の底から笑いがこみ上げてくる。
まだ不安そうな知織に、なんとか笑いをこらえて言った。
「俺さ、知織の合格祈願に行ったのに、柏手(かしわで)打ったら、無意識に早く知織と結婚したい、って願ってたんだよね。」
知織はキョトンとして、それから苦笑した。
「道真の粋な計らい?……意地でも東大行かなあかんね。」
「何で?安定期に入るまで、ゆっくりしたほうがいいんじゃないの?」
「だって、もし落ちたら、暎さん、うちの親にボロクソ言われはるわ。京都に帰らせへんための計画的犯行みたいに。……ちゃんとみんなに祝福されたいし、ね。」
そっとお腹に手を当てた知織は、マリアのように美しく慈愛に満ちてた。
「まあ、まだ確定じゃないけど。」
そう言いながらも、知織は確信している様子だ。
「……いつわかるの?」
「んー、早ければ来週?」
わくわくしてきた。
あ、でも!
「まだ受験、続くのに、大丈夫?」
知織はちょっと首をかしげた。
「……まあ、学校ももう卒業式までほとんど行かんでいいから。ゆっくり勉強する分には、大丈夫やと思う。あ、でも……迷惑じゃなければ、暎さんの部屋で勉強したい。かまへん?」
俺は、たまらず、知織を抱きしめた。
「迷惑ってなんだよ。うれしいよ。このまま連れて帰りたいぐらい。」
「……や、それは、妊娠確定してからにしよう。ね?とりあえず、心積もりしとってください。よろしくお願いします。」
そう言ってから知織は車を降りて、軽やかな足取りで行ってしまった。
うれしそうだな。
……知織のことだから、受験前に妊娠したらものすごく悩んで苦しむんじゃないかと思ったけど、杞憂なようだ。
よかった。
よーし!
俺は、俺にできることからしていこう。
……とりあえず、マネージャーに電話した。
「一条だけど。俺、結婚しようと思う。」
珍しくすぐに車を降りず、知織がもじもじしてる。
「ん?どうしたの?」
甘えたいのかな?
「まだわからへんねんけど……」
「うん?」
しばらく目を泳がせてから、知織は意を決したように顔を上げた。
「もしかしたら授かったかも。」
さずかった……。
センター試験の日の話題にふさわしくないワードに、俺は真っ白になった。
「……困る?」
いつまでも反応しない俺に、知織は不安になったらしい。
慌てて俺は、首を振った。
「すごくうれしい。でも、びっくりした。まさか大事な試験の日に……あ!」
そうか!
俺、さっき、湯島天神で!
腹の底から笑いがこみ上げてくる。
まだ不安そうな知織に、なんとか笑いをこらえて言った。
「俺さ、知織の合格祈願に行ったのに、柏手(かしわで)打ったら、無意識に早く知織と結婚したい、って願ってたんだよね。」
知織はキョトンとして、それから苦笑した。
「道真の粋な計らい?……意地でも東大行かなあかんね。」
「何で?安定期に入るまで、ゆっくりしたほうがいいんじゃないの?」
「だって、もし落ちたら、暎さん、うちの親にボロクソ言われはるわ。京都に帰らせへんための計画的犯行みたいに。……ちゃんとみんなに祝福されたいし、ね。」
そっとお腹に手を当てた知織は、マリアのように美しく慈愛に満ちてた。
「まあ、まだ確定じゃないけど。」
そう言いながらも、知織は確信している様子だ。
「……いつわかるの?」
「んー、早ければ来週?」
わくわくしてきた。
あ、でも!
「まだ受験、続くのに、大丈夫?」
知織はちょっと首をかしげた。
「……まあ、学校ももう卒業式までほとんど行かんでいいから。ゆっくり勉強する分には、大丈夫やと思う。あ、でも……迷惑じゃなければ、暎さんの部屋で勉強したい。かまへん?」
俺は、たまらず、知織を抱きしめた。
「迷惑ってなんだよ。うれしいよ。このまま連れて帰りたいぐらい。」
「……や、それは、妊娠確定してからにしよう。ね?とりあえず、心積もりしとってください。よろしくお願いします。」
そう言ってから知織は車を降りて、軽やかな足取りで行ってしまった。
うれしそうだな。
……知織のことだから、受験前に妊娠したらものすごく悩んで苦しむんじゃないかと思ったけど、杞憂なようだ。
よかった。
よーし!
俺は、俺にできることからしていこう。
……とりあえず、マネージャーに電話した。
「一条だけど。俺、結婚しようと思う。」



