おいてけぼりティーンネイジャー

「ごめん……ずっと、気ぃ遣ってくれてはったんでしょ?」
……久々の行為を楽しんでいると、知織がそう言った。
「まあ?知織ががんばってるのに、俺が邪魔するわけにはいかないからね。」

「……幸せ。」
ぽつりと知織が言った。

「ん?」
「幸せ!私、暎さんに求められるの、直接的な愛情表現やと思ってうれしかってんけど……我慢してくれるのも愛情表現やねんね。」

そう言って涙を浮かべた知織はすごく可愛かった。

……なるほど。
知織がヤリたかったんじゃなくて、俺にヤラせたかったわけだ。
ま、どっちでもいいや。

「俺も、知織の気持ちがうれしいよ。」

あ~~~~最高~~~~~。
そして、そのまま力尽きて寝入ってしまった。




知織のセンター試験当日、俺は朝から落ち着かなかった。
居ても立ってもいられない、とはこのことだろう。

とても夕方まで待ちきれず、峠くんに美味い昼飯を喰わせてもらってから、彼を送りがてら1人で湯島天神に参った。

……結局、俺は知織と一緒に初詣に行けなかった。
知織は始業式の後、由未ちゃんと下高井戸の菅原神社にお参りしてきたらしい。

京都の実家からは北野天満宮のお守りも送られてきた。
ご利益は充分なはず、と知織は言ってたけど、やっぱり俺も祈ってやりたかった。

昇殿してご祈祷してもらおうかと思ったけれど、昨秋からのCM効果でやたら注目を浴びてしまい、断念。
不自由だな。
自分1人ならどれだけ騒がれても平気だったけど、知織の存在はまだ隠さなきゃいけないから。

あ~、神様、天神様。
早く知織と結婚したい!

……あれ?俺、知織の合格祈願に来たんじゃなかったっけ?
神様の前で、つい本音が出てしまったようだ。


夕方、知織を迎えに行った。
知織の通う学園はセンター試験の会場になっているため、学校での定期試験とそう大差ない環境で試験を受けられるらしい。
リラックスして受けてるといいな。

少し離れたところで待機して寝てたら、窓ガラスをコツコツと叩かれた。
駐禁か?

目を開けると、まゆ先輩だ。
慌てて、ウィンドーを全開にした。
「新年おめでとうございます。まゆ先輩は試験、関係ないんですか?」

「うん。部活の引率だったから。おめでとう。相変わらずご活躍ね。CM、新バージョン、恥ずかしいわよ。」
そう言ってまゆ先輩が笑った。

「あれ、一気に1年分撮ったんですよ。秋まで3ヶ月ごとにバージョンが変わるみたいです。」
「へえ!1年もCM出るんだ。すごいわね。ギャラ多そう!」
「税金も多いですよ。」

苦笑まじりにそう言った。