おいてけぼりティーンネイジャー

「じゃ、上、行こっか。あ、これ、土産ね。」
大きな袋を持って、知織の背中に手を回して部屋へと急いだ。

土産は、お気に入りの紅茶と、清水焼の湯飲み茶碗。
「わ!祥瑞(しょんずい)!……手描きや!」
知織が湯飲み茶碗を大事そうに持って、珍しくはしゃいでる。

正直、俺にはよくわからないけど、いいものらしい。
イケズそうな店主に、値打ちもわからへんもんに売りたくない、みたいなことを言われながら買ったんだけど……よかった~。

「うれしいけど……高かったんちゃいますか?」
知織が申し訳なさそうにそう聞いてきた。
……まあ、確かに茶碗1つの代金としては高いけど、いつも知織にプレゼントしてるアクセサリーとかに比べりゃ全然安い。
なのに、今までで一番喜んでるかもしれない。

「それだけ喜んでくれるなら値打ちあるんじゃない?ご飯茶碗とかもあったから、次の機会に買ってくるよ。」
そう言うと、知織はぶるぶると首を振った。

「いい!高いもん!もったいない!割ったらと思うと、使えへん!」
「……割れたら、また買えばいいよ。」
そのたびにそんな風に喜んでくれるなら、何度割ってくれてもいいよ。

俺は本気で言ったのだが、知織はさらに強く首を振った。
「もったいない!粉々にならへん限り、金継ぎしてもらう。」
……金継ぎぃ?
そのほうが高くつくんじゃないだろうか。

ま、好きにすればいいよ。
知織がご機嫌でいてくれるなら、俺は何だってしてあげたいんだ。

「おいで。」
そう言って手を差し伸べる。

知織は赤くなり、慌てて言った。
「紅茶は?せっかく買うてきてくれはったし、入れましょうか?」
「後でいいよ。先に、知織が欲しい。」

知織の瞳が揺れた。
かすかにうなずいて、俺に近づいてくる。

手を取り合って寝室へ入り、制服を脱がせるのももどかしく、抱いた。



「暎慶さんに逢ったよ。おもしろいヒトだね。俺、けっこう好きみたい。」
行為後、ぐったりしてる知織の髪を撫でながらそう言った。

「えー……そうなんや。私、慇懃無礼で冷たく感じた。」
知織が口をとがらせてそう言った。
……そうかもしれないな、と納得もする。

暎慶さんは礼儀正しいし、できるヒトっぽいけど……媚びるタイプではなさそうだ。
そこが信頼できそうだしおもしろいと俺は思ったけれど、逆に知織には不可解だったんじゃないだろうか。

どんなに暎慶さんが知織に親切でも、愛情が微塵もないないなら、結婚云々にさぞかし違和感を覚えたことだろう。

……あの人がゲイってことは言わないほうがいいのかな……知織のプライドを傷つけそうだ。