「……さて。本題に入りましょうか。」
俺はそう前振りをして、ズイッと膝を詰めた。
涼しい顔で暎慶さんは俺を見据えた。
「暎慶さん、知織のこと、別に好きじゃないですよね?」
ここに来るまで思ってもみなかったけど……今日一日暎慶さんを見てたらよくわかった。
この人の恋愛対象は、男。
それも、俺みたいな腐女子受けしそうな倒錯した男じゃなく、尾崎のような普通にストレートなイケメンが好みらしい。
暎慶さんはあっさり言った。
「ええ。でも、もちろん嫌いではないので、苛めるつもりはありません。ご安心ください。」
……どういう意味だ?
「苛めるって……知織と関わる機会なんかないだろ?これからも知織は東京にいるんだから。」
俺がそう言うと、暎慶さんは皮肉っぽく笑った。
「そうですね。まだ当分は、関わり合いはほとんどないでしょうね。」
「当分は?」
「ええ。当分は。」
暎慶さんはこれ以上ないぐらいイケズな顔で言った。
「私は受け皿ですよ。一条さんに捨てられたおひいさまの。」
……はあ?
「俺、捨てないよ。一生。」
真面目にそう言ったけど、暎慶さんに鼻で笑われた。
「そう思ってるのは、一条さんだけですよ。誰も……おひいさまご自身も信じてらっしゃらないでしょう。」
否定できなかった。
口惜しいけど反論できない俺に、暎慶さんは微笑みかけた。
「個人的には、一条さんが一生おひいさまを大事にしてくださることをお祈りしております。」
……祈られても、全然喜べねーよ。
俺は、苦虫を噛み潰したような気分を、酒で消毒しまくった。
翌朝、まだ暗いのにたたき起こされた。
「……朝から元気ですね。」
一緒に飲んでたはずなのに、暎慶さんは涼しい顔をしてる。
「慣れてますから。」
一番早く寝たはずの尾崎が一番二日酔いでつらそうだ。
「尾崎、大丈夫か?滝行、やめとくか?」
「……やりたい。」
本人はやる気だけど、いかにも青い顔。
カメラマンも首をかしげてる。
「じゃ、一条さんと茂木さんもやりましょうか。」
げ!
本気で嫌がったけど、プロデューサーが勝手に暎慶さんに話をつけてしまった。
渋々白衣に着替えた。
……単衣の白衣に素足で草履……極寒の早朝、どれだけつらいか想像してくれ!
二日酔いと戦う尾崎は無言で、茂木と俺はギャーギャー大騒ぎしながら滝行場(たきぎょうば)へ向かった。
暎慶さんに促されて、草履を脱いで水の中へ。
身を切るような、という表現があるが、……俺の場合は足の冷たさが一気に全身を貫き、顔まで凍り付くんじゃないかと思った。
「……心臓麻痺で死なない?」
びびりまくってる俺に暎慶さんはほほえみかけた。
「血行がよくなって気持ちいいいですよ。」
俺はそう前振りをして、ズイッと膝を詰めた。
涼しい顔で暎慶さんは俺を見据えた。
「暎慶さん、知織のこと、別に好きじゃないですよね?」
ここに来るまで思ってもみなかったけど……今日一日暎慶さんを見てたらよくわかった。
この人の恋愛対象は、男。
それも、俺みたいな腐女子受けしそうな倒錯した男じゃなく、尾崎のような普通にストレートなイケメンが好みらしい。
暎慶さんはあっさり言った。
「ええ。でも、もちろん嫌いではないので、苛めるつもりはありません。ご安心ください。」
……どういう意味だ?
「苛めるって……知織と関わる機会なんかないだろ?これからも知織は東京にいるんだから。」
俺がそう言うと、暎慶さんは皮肉っぽく笑った。
「そうですね。まだ当分は、関わり合いはほとんどないでしょうね。」
「当分は?」
「ええ。当分は。」
暎慶さんはこれ以上ないぐらいイケズな顔で言った。
「私は受け皿ですよ。一条さんに捨てられたおひいさまの。」
……はあ?
「俺、捨てないよ。一生。」
真面目にそう言ったけど、暎慶さんに鼻で笑われた。
「そう思ってるのは、一条さんだけですよ。誰も……おひいさまご自身も信じてらっしゃらないでしょう。」
否定できなかった。
口惜しいけど反論できない俺に、暎慶さんは微笑みかけた。
「個人的には、一条さんが一生おひいさまを大事にしてくださることをお祈りしております。」
……祈られても、全然喜べねーよ。
俺は、苦虫を噛み潰したような気分を、酒で消毒しまくった。
翌朝、まだ暗いのにたたき起こされた。
「……朝から元気ですね。」
一緒に飲んでたはずなのに、暎慶さんは涼しい顔をしてる。
「慣れてますから。」
一番早く寝たはずの尾崎が一番二日酔いでつらそうだ。
「尾崎、大丈夫か?滝行、やめとくか?」
「……やりたい。」
本人はやる気だけど、いかにも青い顔。
カメラマンも首をかしげてる。
「じゃ、一条さんと茂木さんもやりましょうか。」
げ!
本気で嫌がったけど、プロデューサーが勝手に暎慶さんに話をつけてしまった。
渋々白衣に着替えた。
……単衣の白衣に素足で草履……極寒の早朝、どれだけつらいか想像してくれ!
二日酔いと戦う尾崎は無言で、茂木と俺はギャーギャー大騒ぎしながら滝行場(たきぎょうば)へ向かった。
暎慶さんに促されて、草履を脱いで水の中へ。
身を切るような、という表現があるが、……俺の場合は足の冷たさが一気に全身を貫き、顔まで凍り付くんじゃないかと思った。
「……心臓麻痺で死なない?」
びびりまくってる俺に暎慶さんはほほえみかけた。
「血行がよくなって気持ちいいいですよ。」



