おいてけぼりティーンネイジャー

「旦那さん、怒っちゃった?」
しばらくしても戻ってこないようなので、裕子にそう聞くと、
「私の前で言うことじゃなかったわ。主人が怒って当たり前でしょ。……一条くんらしいけどね。」
と、呆れられたようだ。

「交渉決裂、かぁ。ま、いいや。また来るよ。」
そう言うと、裕子は苦笑して首を振った。

「必要ないわ。知織は私達より一条くんを選んだんでしょ……今は何を言っても無駄なんでしょ。私達は、あの子の幸せを祈ることしかできないんだから。」
「俺、本気で知織を幸せにするから。……裕子にはふられてあっさり諦めちゃったけど、知織は離さないから。」

「……はいはいはいはい。」
なま返事をしながら背中を向けて、大村さんに出していた茶器を片付けはじめた裕子に聞いた。

「あの時、何で俺とやり直してくれなかったの?」
裕子は手をとめて押し黙った。
聞いちゃいけなかったかな……と、後悔し始めた頃、裕子がやっとこぼした。

「……覚えてなかったのよ。悪夢しか。一条くんもそこにいたのかすら、思い出せなかったの。そんな状態で、やり直すとか、できるわけないでしょ?」

「……ごめん。」
俺は、ただ、あやまることしかできなかった。




大村家を出てすぐに京都駅に直行して新幹線に乗ったので、まだ俺の部屋にいた知織に逢うことができた。
「おかえりなさい。……母から電話がありました。」
不安そうにそう言う知織が愛しくて、俺はぎゅーっと抱きしめた。

「ただいま。またお父さんを怒らせちゃった。でも、また行ってくるから。」
知織は俺の背中に手を回してしがみついてきた。
……かわいい。

「無理せんとってください。時間おいたほうが、効果的やと思うし……」
知織の唇を奪って、言葉を遮る。
かわいくてかわいくて……本気で喰っちまいたいぐらい、かわいい。
長く深いキスのあとで、やっと唇を離した。
気を失いそうにふらふらになっている知織の唇が真っ赤に充血してて……欲情した。

「ベッド行こ。」
そう囁くと、知織は真っ赤になってうつむいた。

拒否してない。
よし!
俺は知織を無理矢理抱き上げて、寝室へと運んだ。

「……こ、紅茶は?買うてきはった?」
「忘れた。また今度。」
どうでもいいとばかりに、知織の唇をふさいだ。

「紅茶より知織が欲しかったの!」
強く言うと、知織はほわ~っと笑った。
ゆる~い笑顔に俺の心もほぐれた。
ああ、もう……かわいすぎる。

俺は知織にすがりつくように、柔らかいその身体を捉えた。
絶対離さない。
誰が何と言おうと、俺のもんだ!