信じられない。
信じたくない。
「顔が似てない父娘なんていくらでもいるわ。DNA鑑定でもしない限り、断言はできないでしょ。」
平原先生の言葉に、ただ首を横に振った。
「違う……」
「でも、本や音楽の好みは似てるんじゃない?」
そう言われても私は首を振り続けた。
「違う……暎さんも私も乱読やし……たまたま合う分野があるだけ……音楽かて、暎さんはプロやもん……」
自分で何を言ってるのかすらわからなくなってきた。
「まあ、どっちでもいいわよ。違うな。どっちにしてもダメなの。知織ちゃんと一条がそんな仲だって知ったら、裕子がどれだけ傷つくか。わかるよね?」
頭が真っ白になった。
傷つく?
お母さんが?
「……あかんの?」
涙がぶわっとこみあげてきた。
平原先生が慌ててハンカチを貸してくれた。
「これ以上、裕子も知織ちゃんも、傷ついてほしくないの。……一条とはなるべく早く別れなさい。裕子にばれないうちに。」
胸が空っぽになり、重いどす黒い気が渦巻いてるような気がする。
ただ、苦しい。
私は、うなずくことも、拒否することもできず、ただ黙っていた。
終業式もホームルームも、空っぽの私を通り過ぎて行った。
通知簿は相変わらずよかったけれど、何の感慨も起きない。
お昼前には祖父母の家に帰宅したけれど、食事も喉を通らなかった。
自室、つまり昔、母が過ごした部屋の机の引き出しの奥、床下、鴨居の上……思いつく限り、手当たり次第、何かが残ってないかと手を這わせた。
何もない……。
あの記事だけ……。
破り捨ててしまいたい衝動にかられた。
……そんなことしても、何も変わらないのに。
暎さんと母の過去は、消えないのに。
昼過ぎに、暎さんから着信が来たのを合図に、私は祖父母に挨拶をした。
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん、よいお年を。」
「行ってらっしゃい。遊び過ぎて風邪ひかないようにね。」
「崇彬(たかあき)くんによろしく。」
祖父母に手を振って、駅へ向かう……ふりをして、暎さんの車に拾われた。
「成績どうだった?」
そんなことを聞く暎さんにちょっと腹が立った。
……まるで父親みたいじゃないか。
「いつも通り、体育は4、それ以外は5です。」
「体育だけ惜しいんだ。一緒にジムでも通う?」
そう言って笑顔を見せた暎さんは、サングラスをしてても、今日もかっこよかった。
この人が私の本当のお父さん?
……んなわけないない。
でも、母との関係は……本当なのか……
「どうかした?泣きそうな顔してる?」
「大丈夫ですから。運転中は前を見ててください。」
そう強がってみたけど、暎さんはぐいっと私の頭を自分の肩へと押しつけた。
信じたくない。
「顔が似てない父娘なんていくらでもいるわ。DNA鑑定でもしない限り、断言はできないでしょ。」
平原先生の言葉に、ただ首を横に振った。
「違う……」
「でも、本や音楽の好みは似てるんじゃない?」
そう言われても私は首を振り続けた。
「違う……暎さんも私も乱読やし……たまたま合う分野があるだけ……音楽かて、暎さんはプロやもん……」
自分で何を言ってるのかすらわからなくなってきた。
「まあ、どっちでもいいわよ。違うな。どっちにしてもダメなの。知織ちゃんと一条がそんな仲だって知ったら、裕子がどれだけ傷つくか。わかるよね?」
頭が真っ白になった。
傷つく?
お母さんが?
「……あかんの?」
涙がぶわっとこみあげてきた。
平原先生が慌ててハンカチを貸してくれた。
「これ以上、裕子も知織ちゃんも、傷ついてほしくないの。……一条とはなるべく早く別れなさい。裕子にばれないうちに。」
胸が空っぽになり、重いどす黒い気が渦巻いてるような気がする。
ただ、苦しい。
私は、うなずくことも、拒否することもできず、ただ黙っていた。
終業式もホームルームも、空っぽの私を通り過ぎて行った。
通知簿は相変わらずよかったけれど、何の感慨も起きない。
お昼前には祖父母の家に帰宅したけれど、食事も喉を通らなかった。
自室、つまり昔、母が過ごした部屋の机の引き出しの奥、床下、鴨居の上……思いつく限り、手当たり次第、何かが残ってないかと手を這わせた。
何もない……。
あの記事だけ……。
破り捨ててしまいたい衝動にかられた。
……そんなことしても、何も変わらないのに。
暎さんと母の過去は、消えないのに。
昼過ぎに、暎さんから着信が来たのを合図に、私は祖父母に挨拶をした。
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん、よいお年を。」
「行ってらっしゃい。遊び過ぎて風邪ひかないようにね。」
「崇彬(たかあき)くんによろしく。」
祖父母に手を振って、駅へ向かう……ふりをして、暎さんの車に拾われた。
「成績どうだった?」
そんなことを聞く暎さんにちょっと腹が立った。
……まるで父親みたいじゃないか。
「いつも通り、体育は4、それ以外は5です。」
「体育だけ惜しいんだ。一緒にジムでも通う?」
そう言って笑顔を見せた暎さんは、サングラスをしてても、今日もかっこよかった。
この人が私の本当のお父さん?
……んなわけないない。
でも、母との関係は……本当なのか……
「どうかした?泣きそうな顔してる?」
「大丈夫ですから。運転中は前を見ててください。」
そう強がってみたけど、暎さんはぐいっと私の頭を自分の肩へと押しつけた。



