おいてけぼりティーンネイジャー

「ツアーファイナルの後は、泊まれるの?」
「無理しないでくださいね。打ち上げもあるでしょ?私は、また由未ちゃん家にお泊まりってことになってるから、どうとでもなりますけど。」
いつも悪いなあ、と思いつつ、そういうことにさせてもらった。

「じゃ、一緒に過ごそう。どうせ正月は会えないんだろ?」
私は淋しくうなずいた。
暎さんと出逢ってからこれで3度めの年越し。
慣れるどころか、年々淋しくなる。

「……お土産話、待ってる。今年はどこ行くの?」
「そうだなあ。イタリアか、ギリシャか……。」
IDEAのオフ期間、暎さんは海外を放浪してリフレッシュと新しい刺激を受けてくる。

「知織が大学生になったら、一緒に行こうね。」
毎回暎さんはそう言ってくれる。

最初のうちは、話半分で聞いてたけど……今はすっかりその気になっている自分に気づいて苦笑した。
「連れて行って下さい。どこまでも。」
暎さんは、うれしそうに、力強くうなずいた。

暎さんを見送ってから、勉強を始めた。
期末試験も終わり、まともな授業はもうないので、やっと受験のための勉強ができる。
私は、系統立てて考えたりまとめたりするのが好きなので、市販の参考書は見ないで自分専用の参考書を、作り上げていく、そんなつもりでやっていた。

2時間ほどして、休憩がてら暎さんの書斎のようなベッドルームにお邪魔した。
ここにもプラトンが揃ってたなあ……と、書架を眺めてて、はたと思い出した。

四つ葉のクローバー!
ここで見たんだ!

あれは、確か……はじめてここに来て……そうだ、詩集!
古い綺麗な革の装丁の詩集を片っ端から開いて、見つけた!

これ、だ。

レミ・ド・グールモン。

あった!
四つ葉のクローバー。

……やっぱり……押し花を挟んだ雲母の和紙まで同じものだった。

どういうことだろう?
たまたま、前の持ち主が同じ人?
そんなことって、ある?

2冊の本を見比べて、私は途方に暮れた。



翌日は祝日。
祖母と銀座でランチを楽しんだ後、デパートに連れていってもらった。
クリスマスプレゼントを買ってくれるつもりだったらしい。
面映ゆいけど、素敵なワンピースを買ってもらった。

「ちょっと地味過ぎない?高校生なんだからもっと明るい色でもいいのに……」
祖母にはそう言われたけど、私は紺色の落ち着いたものを選んだ。

別に暎さんとの年齢差を気にしてオトナっぽく見せたいとかそういうつもりはなく、単に私が地味好みなんだと思う。