おいてけぼりティーンネイジャー

帰宅後、祖父が見せてくれた番組は、私には衝撃的だった。
暎さんが、チャラい!!!
今より若くて、今よりとんがってて、今よりにやけてて、今よりいいかげんそう!

それなのに中学時代の暎さんは、めちゃくちゃかっこいい!好青年!

このギャップはなんなの!?
くそ~~~!

今更やけど、萌えるやんか~~~~!!!

……中学の時の後輩、か。
うらやましいな。
その頃の暎さんにも逢ってみたかったな。
絶対無理なことだけど、私は本気でそんな風に思っていた。

……いつの間にか、自分の中に独占欲が芽生えたことに恐れを抱きながら……。


夏休みが始まった。
午前中は祖父母の家で読書やピアノを奏で、昼食の後で図書館へ行く……ということにして、暎(はゆる)さんのお部屋に通った。

暎さんは、私が着く頃に起きて、私の勉強の邪魔をしないように、いや、たまにはちょっかいを出してきたけど、基本的には読書とかしてらして、夕方に私を送りがてらスタジオへ入っていた。

日によって違うようだけど、毎日、夜中から明け方ぐらいまでスタジオで曲を作ったり、夏のイベントや秋のツアーの準備をしてたみたい。

午後をずっと一緒に過ごしている割には、節度あるイチャイチャというか……最後まですることはほとんどなかった。
あいかわらず暎さんは、昼間はすべきではない、と自制しているようだ。
昼夜関係なく求めて欲しい気はするものの、避妊する気があらはらへん以上はしないほうがいいのかも……と私も思っていた。

冬休みに入る直前の日曜日。
年末年始を実家で過ごすため、自室を大掃除してると、祖父の書斎から借りっぱなしになっていた本が出てきた。

『パイドン』だ。
これ、いつ借りてきたんだっけ?

思い出せないままパラパラとページをめくっていて、見つけた。
四つ葉のクローバーの押し花。

へえ、乙女チック。
ん?
クローバーは、雲母の和紙で挟まれていた。
この和紙とクローバーの組み合わせ、どこかで見たような……。
どこだったか……。

あ!
思い出した!
夏前に、暎さんと喧嘩した夜に書斎から持ってきた!

なのに、読まなかったから存在を忘れてたんだ。
そっかそっか。
後で返しておかなきゃ。

さ、掃除の続きをしよ。

……違う。

あの時じゃない。
いや、本を借りてきたのはあの時だった。
でも、四つ葉のクローバーは、もっと前。
どこで見たんだっけ。

乙女チックだなあ……って。

えーと……えーと……。