おいてけぼりティーンネイジャー

シャワーを浴びて戻ってくると、暎さんは電話を終えていた。
「茶粥にはコーヒーつかないらしいから、追加でもらったよ。」
「わ。ありがとうございます。」

濡れた髪を乾かし終えた頃、朝食が運ばれてきた。
私は、ホテルのヒトが部屋からいなくなるのを、パウダールームで身支度をととのえながら待った。

「お姫さま?もういいよ?」
迎えに来てくれた暎さんは、バスローブを身に着けていた。

私は茶粥、暎さんは洋食。
「……暎さんは、朝はパン派?」
「いや、朝食自体、食べない……てか、起きたら午後だしなあ、基本。収録やツアーで午前中に起きても、1人だと食べないし。」
「わ~。不健康。今はよくても、食生活の乱れは10年後の身体を壊しますよ。」
家庭科の先生の受け売りだけど、信憑性がありそうなのでそう言ってみた。

「……10年後ねえ……じゃあ、知織が管理してよ。……いや、料理、できないんだよね。」
コーヒーを飲みながら、暎さんがそうからかった。

「できないとは言ってません!機会がなくて、したことないだけです!」
実家でも、祖父母の家でも、勉強が最優先で、お手伝いをするように言われたことがないのだ。

「そう?俺の部屋に居着いてるのに、料理しようとしないのは苦手なんだと思ってたよ。」

……なるほど。
普通は、あの貧しい食生活に耐えかねて、包丁を握るのか!
私は茶粥を口に運びながら、己の女子力の低さを恥じた。
「……大学受験が終わったら……今度は家事を勉強します。それまで待っててもらえますか?」

暎さんは、くすっと笑った。
「お好きにどうぞ。てか、別にいいよ~?洗濯させてるのも申し訳ないぐらいなのに。」

いや、そのぐらいは……ねえ。
「まあ、知織がめでたく懐妊したら、食生活は重要だろうし、食事作ってくれるヒトを頼もうか。」
さらっとそう言った暎さんに私は目を剥いた。

「……避妊しないのは、確信犯なんですか?」
思わずそう問い詰めると、暎さんは眉をひそめた。

「ひどい言われようだな。何のために今まで待ってたと思ってるの?」

結婚できる年齢になるのを待ってた、のか。
いや、でも、まだ親の承認が必要だし……。
あたふたする私に、暎さんはきっぱりととどめを刺した。

「俺の食生活を気にしてくれるなら、知織は自分の身体をいたわること!軽々しくピルとか風邪薬とか飲むなよ!……いつ子供を授かっても慌てないように!」

……マジか!?