由未ちゃんがいたのは、廃校になった昔の小学校の中で営業している珈琲専門店だった。
「わー、お久しぶりです!」
由未ちゃんはまず父と母にそう挨拶してから、私に言った。
「お兄ちゃんが知織ちゃんによろしく、って。今夜は帰らへんみたい。」
私は苦笑いで、由未ちゃんのアリバイ工作協力に感謝した。
母の無表情を確認しつつ、祖父母と平原先生を紹介し、和やかに過ごした後、私は家族と別れた。
「で?一条さんとはうまくいってるん?」
水蜜桃パフェを食べながら、由未ちゃんにそう聞かれた。
「相変わらず、ゆる~く?まだ、最後までいってない。」
私の返事はかなり意外だったらしく、由未ちゃんは柄の長いスプーンをポロリと落としてしまった。
「嘘~!なんで!?知織ちゃん、まさか、結婚するまでダメとかゆーてるん?」
そんなわけない。
私は、気恥ずかしく思いつつ
「私に魅力がないか、暎さんが臆病なんちゃう?」
と、吐き捨てた。
首を傾げてる由未ちゃんに、私も聞いてみた。
「由未ちゃんは?サッカー部の先輩、振り向いてもらえそう?」
店員さんが持ってきてくれた新しいスプーンを笑顔で受け取って、由未ちゃんは水蜜桃をすくい上げた。
「もうねえ……悲しくなるぐらい、サッカーのことしか考えてはらへんの。猿って呼ばれてるぐらい。」
猿?
「お顔は別に猿じゃないよね?精悍でかっこよかったような……」
由未ちゃんが見せてくれた画像を思い出してそう言った。
「うん!かっこいい!実はめっちゃもててはるのに、女子に見向きもしてはらへん。……来年は、本気で国立競技場目指してはる。」
ほう!
そりゃあ大きく出たねえ。
「ほな、国立決まったら応援行くわ。」
21時に由未ちゃんにGPSを託して別れると、地下鉄で京都駅に向かい、近鉄に乗り換えた。
さすがにホームがごった返しにこんでたので、特急でゆったりと奈良へ急いだ。
てか、特急だと西大寺まで1時間かからなかった!!
まさか22時前に着くとは思わなかった。
暎さんにメールで到着時間を送ってしばらくすると、
<ホテルから迎えの車が行くから。>
と返信があった。
駅構内には、IDEA(イデア)のコンサート帰りのヒト達も多くて……興奮してはしゃいでる様子がうらやましかった。
「大村様でいらっしゃいますか?」
バスプールに下りると、丁寧に声をかけられた。
「はい。……よろしくお願いします。」
黒いスーツのヒトの後ろに停まってる車を見て、一瞬ポカーンとしてしまった。
黒塗りの、とってもクラッシックな仰々しい高級車。
「浴衣なんかで、すみません。」
と、お迎えのかたにも、車にも謝らなきゃいけないレベルだ。
「今日は、京都は祇園祭でしたね。」
全て心得てらっしゃるかのような安心感を与えられて、私は従容と車に乗せていただいた。
「わー、お久しぶりです!」
由未ちゃんはまず父と母にそう挨拶してから、私に言った。
「お兄ちゃんが知織ちゃんによろしく、って。今夜は帰らへんみたい。」
私は苦笑いで、由未ちゃんのアリバイ工作協力に感謝した。
母の無表情を確認しつつ、祖父母と平原先生を紹介し、和やかに過ごした後、私は家族と別れた。
「で?一条さんとはうまくいってるん?」
水蜜桃パフェを食べながら、由未ちゃんにそう聞かれた。
「相変わらず、ゆる~く?まだ、最後までいってない。」
私の返事はかなり意外だったらしく、由未ちゃんは柄の長いスプーンをポロリと落としてしまった。
「嘘~!なんで!?知織ちゃん、まさか、結婚するまでダメとかゆーてるん?」
そんなわけない。
私は、気恥ずかしく思いつつ
「私に魅力がないか、暎さんが臆病なんちゃう?」
と、吐き捨てた。
首を傾げてる由未ちゃんに、私も聞いてみた。
「由未ちゃんは?サッカー部の先輩、振り向いてもらえそう?」
店員さんが持ってきてくれた新しいスプーンを笑顔で受け取って、由未ちゃんは水蜜桃をすくい上げた。
「もうねえ……悲しくなるぐらい、サッカーのことしか考えてはらへんの。猿って呼ばれてるぐらい。」
猿?
「お顔は別に猿じゃないよね?精悍でかっこよかったような……」
由未ちゃんが見せてくれた画像を思い出してそう言った。
「うん!かっこいい!実はめっちゃもててはるのに、女子に見向きもしてはらへん。……来年は、本気で国立競技場目指してはる。」
ほう!
そりゃあ大きく出たねえ。
「ほな、国立決まったら応援行くわ。」
21時に由未ちゃんにGPSを託して別れると、地下鉄で京都駅に向かい、近鉄に乗り換えた。
さすがにホームがごった返しにこんでたので、特急でゆったりと奈良へ急いだ。
てか、特急だと西大寺まで1時間かからなかった!!
まさか22時前に着くとは思わなかった。
暎さんにメールで到着時間を送ってしばらくすると、
<ホテルから迎えの車が行くから。>
と返信があった。
駅構内には、IDEA(イデア)のコンサート帰りのヒト達も多くて……興奮してはしゃいでる様子がうらやましかった。
「大村様でいらっしゃいますか?」
バスプールに下りると、丁寧に声をかけられた。
「はい。……よろしくお願いします。」
黒いスーツのヒトの後ろに停まってる車を見て、一瞬ポカーンとしてしまった。
黒塗りの、とってもクラッシックな仰々しい高級車。
「浴衣なんかで、すみません。」
と、お迎えのかたにも、車にも謝らなきゃいけないレベルだ。
「今日は、京都は祇園祭でしたね。」
全て心得てらっしゃるかのような安心感を与えられて、私は従容と車に乗せていただいた。



