「紅茶、今日は何?」
暎さんにそう聞かれて、私は慌ててお膝から降りた。
「……別にそのままでいいのに」
ちょっと淋しそうな暎さんに苦笑する。
「それじゃ動けませんよ。今日は、キラキラ瞳のラズベリーです。」
「意味わかんないけど、美味しそう。」
暎さんに急かされて、銅のティーポットから白磁のティーカップにお茶をついだ。
「うん、いい香り。……よくわかんないけど、美味しいねえ。」
「絶妙ですよね、ほんと。来週、鉾町(ほこちょう)に行くから、また買ってきますね。」
昔からお気に入りの紅茶を暎さんにも気に入ってもらえたみたいで、すごくうれしい。
……もっとも、暎さんは味や香り以上に、ネーミングセンスが楽しいらしいけど。
「祇園祭か。俺、テレビでしか見たことないけど、すっごいヒトだよね?楽しい?」
「何が楽しいってわけでもないんですけど、楽しいです!浴衣で鉾町をそぞろ歩くだけやのに確かにすごいヒトやから……暎さんなんか、囲まれて大変でしょうね。」
「御大尽は、やっぱり、料亭とかお茶屋さんの二階から見下ろすわけ?」
「……鉾町にお茶屋さんはないです。でも小洒落たお店から見下ろす、は有りでしょうね。」
静かに紅茶を飲み干してから、暎さんが言った。
「今年はもう無理だけど、来年……ツアーの日程次第で再来年になるかもしれないけど、一緒に御大尽しようか。」
微妙。
暎さんと贅沢したいんじゃなくて、一緒にそぞろ歩きたいんだけど……それって、やっぱり無理なのかな。
まあでも、祇園祭に限ったことじゃない。
基本的には、暎さんと一緒にお出かけとか食事とか、一切無理っぽい。
だから、暎さんのお部屋に通うようになって3ヶ月以上たつけど……ココでの食事って、お弁当とか出前が基本。
すぐそばのデパ地下にはめっちゃ美味しそうなものが揃ってるけど、暎さんは飽きてしまったらしい。
セレブって不自由なんだなあ……と、可哀想になる。
「はい。楽しみです。」
期待しないで待ってます、という本音を飲み込んだ。
「あ、そっか。隠れ家っぽいお店とかも、由未ちゃんのお兄さんに紹介してもらえばいいんやわ。今度聞いておきますね。」
私の言葉に、暎さんが憮然とした。
「……もしかして、ジェラシー続行中ですか?」
笑いをこらえてそう聞くと、暎さんはムキになった。
「だって!あいつ、水着の知織に触ってたんだぜ!ずるいだろっ!」
はあ?
「水着って。暎さん、そんなとこから見てはったんですか?ずるいって……」
子供か?
「俺のほうが早かったんだよ。なのに午前の競技が終わったらあいつが車から降りてって……」
そこまで言うと、暎さんは立ち上がって私を背後から抱きしめた。
暎さんにそう聞かれて、私は慌ててお膝から降りた。
「……別にそのままでいいのに」
ちょっと淋しそうな暎さんに苦笑する。
「それじゃ動けませんよ。今日は、キラキラ瞳のラズベリーです。」
「意味わかんないけど、美味しそう。」
暎さんに急かされて、銅のティーポットから白磁のティーカップにお茶をついだ。
「うん、いい香り。……よくわかんないけど、美味しいねえ。」
「絶妙ですよね、ほんと。来週、鉾町(ほこちょう)に行くから、また買ってきますね。」
昔からお気に入りの紅茶を暎さんにも気に入ってもらえたみたいで、すごくうれしい。
……もっとも、暎さんは味や香り以上に、ネーミングセンスが楽しいらしいけど。
「祇園祭か。俺、テレビでしか見たことないけど、すっごいヒトだよね?楽しい?」
「何が楽しいってわけでもないんですけど、楽しいです!浴衣で鉾町をそぞろ歩くだけやのに確かにすごいヒトやから……暎さんなんか、囲まれて大変でしょうね。」
「御大尽は、やっぱり、料亭とかお茶屋さんの二階から見下ろすわけ?」
「……鉾町にお茶屋さんはないです。でも小洒落たお店から見下ろす、は有りでしょうね。」
静かに紅茶を飲み干してから、暎さんが言った。
「今年はもう無理だけど、来年……ツアーの日程次第で再来年になるかもしれないけど、一緒に御大尽しようか。」
微妙。
暎さんと贅沢したいんじゃなくて、一緒にそぞろ歩きたいんだけど……それって、やっぱり無理なのかな。
まあでも、祇園祭に限ったことじゃない。
基本的には、暎さんと一緒にお出かけとか食事とか、一切無理っぽい。
だから、暎さんのお部屋に通うようになって3ヶ月以上たつけど……ココでの食事って、お弁当とか出前が基本。
すぐそばのデパ地下にはめっちゃ美味しそうなものが揃ってるけど、暎さんは飽きてしまったらしい。
セレブって不自由なんだなあ……と、可哀想になる。
「はい。楽しみです。」
期待しないで待ってます、という本音を飲み込んだ。
「あ、そっか。隠れ家っぽいお店とかも、由未ちゃんのお兄さんに紹介してもらえばいいんやわ。今度聞いておきますね。」
私の言葉に、暎さんが憮然とした。
「……もしかして、ジェラシー続行中ですか?」
笑いをこらえてそう聞くと、暎さんはムキになった。
「だって!あいつ、水着の知織に触ってたんだぜ!ずるいだろっ!」
はあ?
「水着って。暎さん、そんなとこから見てはったんですか?ずるいって……」
子供か?
「俺のほうが早かったんだよ。なのに午前の競技が終わったらあいつが車から降りてって……」
そこまで言うと、暎さんは立ち上がって私を背後から抱きしめた。



