「……2年です……」
ゆっくりと暎(はゆる)さんが私から離れて、再び車を出してから、私はつぶやくようにそう言った。
「出逢ってから?記念日のお祝いしたいの?プレゼントしよっか?」
暎さんの言葉にちょっと笑った。
「今、もらいました。暎さんを好きになって、2年、ずっと夢見てました。やっと半分、夢が叶いました。」
運転中で前から目を話せない暎さんのお顔が真っ赤になった。
左手で口元を抑えて、にやけるのを隠してるようだ……隠しきれてないし。
「あと半分は、さらに2年後、とか嫌ですよ?」
私のおねだりに、暎さんは左手でポンポンッと私の頭を撫でた。
「俺さ、尾崎や茂木とIDEA(イデア)やって、やっとヒトとして落ち着いたと思うんだよね。」
お部屋に着いてからお気に入りの美味しい紅茶をポットで入れてしばし待っていると、暎さんがそう言い出した。
「それって、『永遠不変の自己同一を保つ実在としてのイデア』とかけて言ってるんですか?」
暎さんがうれしそうに笑った。
「そうそう。でもね、それって『ヒトとして』なだけでね。……俺自身は危ういというか、私生活は完全に破綻してたんだよね。ほんとに。」
銅のポットはどんな紅茶も美味しく入れてくれるけど、とても熱くて素手では持てない。
私はティーカップを並べつつ、暎さんの言葉を待った。
「俺という人間が永遠不変の自己同一を求め続けるために配慮されるべき自分自身の魂はね、たぶん知織が必要なんだよ。」
……いや、それは……。
「プラトンに怒られますよ?崇高なイデア論を口説き文句に転用するなんて。」
めっ!と言うと、暎さんは楽しそうに首をかしげた。
「プラトンなの?ソクラテス先生じゃなくて?」
「……ソクラテス先生は諭してくださるか、諦めはるかじゃないですか?」
「じゃあ、知織は、」
そう言って、暎さんは私に両手を伸ばした。
……おいでおいでされてる。
ソファの隣に座ろうとしたけれど、腰をつかまれて、暎さんの膝の上に座るよう引き寄せられた。
重いのに……。
暎さんのお膝に座ると、きゅーっと抱きしめられた。
「……知織は、ずっと俺の一番近くにいて、ダメな俺を諭して。」
耳元でそんな風に言われて、心臓がドキドキと騒ぎ出した。
暎さん、そんなにダメと感じないんだけど……。
恋は盲目、なのかな。
ゆっくりと暎(はゆる)さんが私から離れて、再び車を出してから、私はつぶやくようにそう言った。
「出逢ってから?記念日のお祝いしたいの?プレゼントしよっか?」
暎さんの言葉にちょっと笑った。
「今、もらいました。暎さんを好きになって、2年、ずっと夢見てました。やっと半分、夢が叶いました。」
運転中で前から目を話せない暎さんのお顔が真っ赤になった。
左手で口元を抑えて、にやけるのを隠してるようだ……隠しきれてないし。
「あと半分は、さらに2年後、とか嫌ですよ?」
私のおねだりに、暎さんは左手でポンポンッと私の頭を撫でた。
「俺さ、尾崎や茂木とIDEA(イデア)やって、やっとヒトとして落ち着いたと思うんだよね。」
お部屋に着いてからお気に入りの美味しい紅茶をポットで入れてしばし待っていると、暎さんがそう言い出した。
「それって、『永遠不変の自己同一を保つ実在としてのイデア』とかけて言ってるんですか?」
暎さんがうれしそうに笑った。
「そうそう。でもね、それって『ヒトとして』なだけでね。……俺自身は危ういというか、私生活は完全に破綻してたんだよね。ほんとに。」
銅のポットはどんな紅茶も美味しく入れてくれるけど、とても熱くて素手では持てない。
私はティーカップを並べつつ、暎さんの言葉を待った。
「俺という人間が永遠不変の自己同一を求め続けるために配慮されるべき自分自身の魂はね、たぶん知織が必要なんだよ。」
……いや、それは……。
「プラトンに怒られますよ?崇高なイデア論を口説き文句に転用するなんて。」
めっ!と言うと、暎さんは楽しそうに首をかしげた。
「プラトンなの?ソクラテス先生じゃなくて?」
「……ソクラテス先生は諭してくださるか、諦めはるかじゃないですか?」
「じゃあ、知織は、」
そう言って、暎さんは私に両手を伸ばした。
……おいでおいでされてる。
ソファの隣に座ろうとしたけれど、腰をつかまれて、暎さんの膝の上に座るよう引き寄せられた。
重いのに……。
暎さんのお膝に座ると、きゅーっと抱きしめられた。
「……知織は、ずっと俺の一番近くにいて、ダメな俺を諭して。」
耳元でそんな風に言われて、心臓がドキドキと騒ぎ出した。
暎さん、そんなにダメと感じないんだけど……。
恋は盲目、なのかな。



