ドンッ

大空の肩と夢の肩がぶつかる。
夢はびっくりしてつい後ろの方へ転びそうになる。

「きゃ…っ!?」



転ぶ…!!!

そう思うと同時に次に来るであろう衝撃から身構えるように咄嗟に目をつぶった。



・・・・・・



のだが、いつまでたってもその"痛み"は
やってこなかった。

なんか、この匂い…知ってるような…?

恐る恐る目を開けてみると目の前には大空がいて。夢を抱き抱えるように転びそうになった彼女を支えていた。

「!?!?!?」

夢の頭のなかは混乱していて。

だっ大空がちかっ…っ

「ったく…大丈夫か?おまえほんとドジだな。まぁ…俺も前しか見てなかったんだけどさ。ごめんな」

大空はそういいながら夢をたたせてくれて、二人は向かい合うように立った。
ごめんな、って言うときのふにゃんと眉を下げて笑う大空に。ちょっと頭をかきながらドジだな…って言う姿に見惚れてしまって。

心拍数が、心臓の音が物凄くうるさい

大空のやる一つ一つの行動が可愛い。

かっこいい。

目の前にいる大空に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいに心拍数がとても早くなっていた。

「だっ…大丈夫!ごめんね!っていうかドジじゃないっ」

なんていつものように返す。
顔は赤くて赤くてどうしようもなくて。
それでもいつも通りを装った。

「ドジだな。お前は昔からいつもだ」

って笑いながらいう大空。
私は赤い顔しながら違うもん!と返す。
いつも通りの会話。
いつも通りの言い合いをしていた。



キーンコーンカーンコーン




昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。

「あっ…授業始まっちゃうね。戻ろ?」

とチャイムがなったせいで途切れた会話。
夢は大空をそう促し先に教室に戻ろうと彼に背を向けた。





不意に手をつかまれた。

いつもの勝ち誇ったような。

悪戯するときのような無邪気な


私の大好きな笑顔で。



「いい。サボるぞ」


その笑顔につられて"うん"と頷いてついていく
怒られるな、と分かっていながら。

私は彼の笑顔には逆らえないのだ









「……………!!」

気づけば廊下に一人でたっていた私。

「あっ…」

妄想癖。いつもの癖で、つい考えてしまう。

「もう、時間ないのにー!!」

チャイムが聞こえながらも夢は急いで水飲み場へと向かった。

End