紫苑サイド

「こんな所で倒れやがって・・・」

俺は、目の前で倒れた少女を抱きかかえると
人目のつかない道を通り
自宅に帰った

「どうすっか」

これ犯罪だよな・・・!?
誘拐罪だよな!?
お、落ち着け俺!!

「まず治療・・・
 包帯、消毒液・・・」

深呼吸をした後、治療キットを探しに
台所、リビングとしらみつぶしに探す

「お、あったあった」

以外と早く見つかったので
少女を寝かしてある寝室に急いで向かう

「ここ・・・
 何処ですか?」

寝室に入ると、もう少女は起きており
辺りをキョロキョロと見渡していた

「俺は川井紫苑。そっちは?」

「え・・・?」

「だから!名前だよ!
な・ま・え!!」

優しく聞こうとしたのに、昔の癖でツイ・・・
あ゛~、絶対嫌われたな~

「こ、小柴彩香・・・、です」

「彩香か、覚えた」

「は、はぁ・・・」

ほら・・・怖がってる

「とりあえず、治療するから
 傷口見せろ」

「は、はい!!」

「おまえさ・・・」

俺が怖くないのか、そう言おうとしたが
咄嗟に口を紡ぐ
怖かった。怖いと言われるのが
ただひたすらその一言が怖かった・・・